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労務コンプライアンスのための就業規則Q&A
新日本法規出版

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労務問題の予防・解決に有効な規定例を実務に対応できるようにしています。

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当事務所へよくある質問を労務コンプライアンスの側面からお答えしています。

Q1.土・日勤務のアルバイトを解雇する場合、解雇予告は必要ですか?
Q2.行方不明社員の対処の方法は?
Q3.年俸制だから残業代を支払はなくてもよいですか?
Q4.管理職にすれば割増賃金を支払はなくてもよいですか?
Q5.ミスで会社に大損害、社員の責任は?
Q6.社員が転勤命令を拒否したが?
Q7.社員が痴漢で逮捕、解雇できますか?
Q8.自転車で会社通勤、通勤手当は返す?
Q9.パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成しないと、正社員の就業規則が適用されますか?
Q10.通勤手当を6ヵ月定期券で交付したいのですが問題はありますか?
Q11.2事業場を掛持ちで働くときどちらで割増賃金を支払うのですか?


Q1.土・日勤務のアルバイトを解雇する場合、解雇予告は必要ですか?

 労働基準法では、その人がアルバイトであろうと、一般の正社員であろうと区別はしていません。労働者であることに変わりはないのです。したがって、アルバイトでも、最初の14日間の試用期間を除き一般労働者と同様解雇予告は必要です。
【労働基準法第20条第1項から抜粋】 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

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Q2.行方不明者社員の対処の方法は?

 社員が行方不明になってから解雇するのは難しい場合があります。それは会社から解雇の意思表示が本人に到達しなければ、原則として解雇はできないことになっているからです。
そもそも行方不明になっている相手に連絡をとるというのは無理な話です。公示送達の方法によって解雇の意思表示をすることもできますが、少なからぬ労力と時間を必要とするため、あまり一般的ではありません。こうした事態を防止するには「無断欠勤が14日間以上に及んだときは労働契約を解除する」という旨の規定をあらかじめ設けておく必要があります。

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Q3.年俸制だから残業代を支払わなくてもよいですか?

 年俸制の場合、残業手当が発生するかということですが、時間外労働・休日労働をすれば、当然に発生します。発生しないのは労働基準法第41条に該当する管理監督者などですので、これにあてはまらない社員には、法定労働時間を超える分については残業手当を支払わなければなりません。 残業手当を年俸に加味することは可能です。ただし、それを超えた分の差額は支払うことになります。

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Q4.管理職にすれば割増賃金は支払わなくてもよいですか?

 労働基準法第41条第2号でいう「監督または管理の地位にある者」とは、次の要件を満たす者でなければなりません。
1. 労務管理について経営者と一体的立場にあること 2. 出退勤などの労働時間について、厳格な制限がなく、自由裁量であること 会社の管理職というものは、各々の会社によって該当基準が異なるものであり、一概にいえないものです。一般に中間管理職は時間外の割増賃金がつかないと思われていますが、実際には労働時間などに関する適用除外者としての管理監督者であるかどうかは、名称ではなく実態で判断することとされています。
管理監督者の基準は意外と高いものとされています。管理監督者を増やして人件費を抑えようなどと安易につくられた管理職は、たいてい労働基準法上の管理監督者には該当しないと考えられます。なお、管理監督者であっても、深夜労働の割増賃金は適用除外とはされていないので注意が必要です。

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Q5.ミスで会社に大損害、社員の責任は?

 一般論と言えば、重大な過失で会社に損害を与えた社員は、内規により解雇などの厳しい懲戒処分を受ける可能性が高い。過失と損害との因果関係がはっきりしていれば不法行為(民法709条)により損害賠償責任を負う可能性もあります。
ただ、原因の一端が会社側にもある場合は、信義則により社員の責任は減ります。例えば、会社が過重労働を強いていた結果、工場従業員が居眠りをしたり注意力が散漫になって爆発事故などを起こす場合などです。
1.会社は社員がミスを犯さないように十分な予防をしていたか 2.ミスが起きた場合に被害を最小限に抑えるような措置をとっていたかなどの事情が考慮されます。 業務上の交通事故などで被害者側に過失があれば、裁判者がそれを斟酌して賠償額を減らす。過失による交通事故で社員が支払う賠償金は、飲酒運転などの悪質な場合以外、おおむね賠償総額の二割程度にとどまるケースが多いようです。

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Q6.社員が転勤命令を拒否したが?

 一般に労働契約を結ぶ際には、就業の場所や職務の内容など重要な労働条件が明らかにされることになっています。契約を交わしたあと、すぐにこれらの条件を変更することは契約違反となります。しかし、長期の雇用を見込んで期間の定めのない契約を結んでいる場合は、一定の期間が経過して条件がそろえば、特約のないかぎり、会社は社員の職務内容や勤務地を変更する権限を有すると考えられています。
その条件とは、次のようなことです。
1. 就業規則などに転勤を命じる場合があることを明記している 2. 業務上の必要がある 会社は時代とともに内部の構造や組織も変わり、一部の事業所がなくなることもあります。その一方で雇用を維持する義務があるため、転勤を含む社員の配置に関しては広い裁量権が認められています。

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Q7.社員が痴漢で逮捕、解雇できますか?

 会社に具体的な損害が発生したかどうかが明らかではありませんが、もし会社のイメージや信用を大きく損なう結果が発生したのであれば懲戒解雇も妥当だと考えられます。ただし、信用を大きく損なうケースとしては、マスコミに報道されてしまったり、上場企業がそのことで株価が下落したりと、目にみえる損害が合った場合に限られるでしょう。
そもそも就業規則は、会社の秩序を保つのが目的であり、会社外での出来事にまで及ぶものではありません。たいていの会社では、就業規則において「会社の名誉、信頼を毀損した場合」を懲戒解雇事由として規定していると思いますが、この規定もプライベートまで関与することはできません。原則として会社は、具体的に業務に支障をきたすことがないかぎり、社員の私生活上の行為について懲戒処分を行なうことはできないのです。
しかし、たとえば犯罪など社会的、道義的に問題のある行為をして信用をおとしめた場合、正当な根拠もなく会社を誹謗中傷して業務妨害をするような場合は、プライベートな行為でも会社は懲戒処分を行なうことができるとされています。

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Q8.自転車で会社通勤、通勤手当は返す?

 通勤にかかる費用は労働者が本来負担すべきものです。しかし、社員の福利厚生の一環として住居や通勤経路の届出を求めたうえで、合理的な経路による費用を賃金の一部として支給する会社が多くなっています。通勤手当は賃金なので、通勤に使ったかどうかにかかわらず受け取ることができるとの見方もあります。しかし、「実際にかかる費用を支給する仕組みなので、使っていないならば返還しなくてはならない」との見方が大勢です。
本来、払わなくてもよい通勤手当を払わせれば、会社に経済的損害を与えてはならないという労働契約上の信義則に違反します。自転車通勤なのにあたかも電車やバスを利用しているように装えば、通勤経路の虚偽申告になります。

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Q9.パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成しないと、正社員の就業規則が適用されますか?

 パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成していないと、原則として正社員の就業規則が適用されます。あるパートタイマーが退職しましたが、会社からパートタイマーは退職金がないと言われました。労働基準監督署で調査したところ、正社員の就業規則はあるが、パートタイマーについての就業規則がなく、退職金規定にパートタイマーを除く規定がありませんでした。是正勧告の結果、規定どおりの計算でこのパートタイマーに退職金を支払いました。
パートタイマー等を雇用している会社は、正社員とは別の就業規則を作成することが重要です。

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Q10.通勤手当を6ヵ月定期券で交付したいのですが問題はありますか?

 現物給与は、労働協約に規定がないと一切認められないことに注意することが必要です。したがって、労働組合のない企業では現物給付はできませんので定期券での支給はできません。また、労働組合があっても労働協約が締結されていない企業では、現物給付は認められません。 いったん定期券代を通貨で支払い、それを回収して企業が恩恵的に定期券を購入して渡すことは認められます。

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Q11.2事業場を掛持ちで働くときどちらで割増賃金を支払うのですか?

 労働者が異なる事業場、たとえばA事業場とB事業場で働く場合その両者の労働時間を通算し、通算の結果、法定労働時間(8時間)を超える場合には、超えた時間に割増賃金を支払わなければなりません。この場合、割増賃金を支払わなければならないのはABいずれの事業主であるかが問題となります。通常は、その労働者との時間的に後で労働契約を締結した事業主と解されています。なぜならば、後で労働契約を締結した事業主は、雇入れに当たってその労働者が他の事業場で働いていることを承知して、少なくとも確認できる立場であって、労働契約を結んだものであるからです。ただし、A事業場で4時間、B事業場で4時間働いている者の場合、A事業場の使用者が、労働者がB事業場で4時間働くことを知りながら労働時間を延長するときは、労働契約の後先に関係なく、A事業場の事業主が割増賃金を支払わなければなりません。どちらの事業主が法定労働時間外にその労働者を使用した事業主と考えられるか、実質的に判断する必要があります。

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