青梅市、羽村市、あきる野市、西多摩郡瑞穂町、福生市、日の出町の社会保険・人事制度・就業規則は社会保険労務士 諸江経営労務事務所

諸江経営労務事務所 諸江経営労務事務所
労務コンプライアンスのための就業規則Q&A
新日本法規出版

執筆しました。
労務問題の予防・解決に有効な規定例を実務に対応できるようにしています。

>詳細はこちら

>執筆者一覧

4166のブログ

リンク
トップ > 労務相談

当事務所へよくある質問を労務コンプライアンスの側面からお答えしています。

Q1.土・日勤務のアルバイトを解雇する場合、解雇予告は必要ですか?
Q2.行方不明社員の対処の方法は?
Q3.年俸制だから残業代を支払はなくてもよいですか?
Q4.管理職にすれば割増賃金を支払はなくてもよいですか?
Q5.ミスで会社に大損害、社員の責任は?
Q6.社員が転勤命令を拒否したが?
Q7.社員が痴漢で逮捕、解雇できますか?
Q8.自転車で会社通勤、通勤手当は返す?
Q9.パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成しないと、正社員の就業規則が適用されますか?
Q10.通勤手当を6ヵ月定期券で交付したいのですが問題はありますか?
Q11.2事業場を掛持ちで働くときどちらで割増賃金を支払うのですか?
Q12.始末書の提出を強制することはできますか?
Q13.年休の買い上げが認められるのはどのようなケースですか?
Q14.退職者の前歴を知りたいという問い合わせに答えても良いですか?
Q15.自主的に行われる残業は時間外労働になりますか?
Q16.社命での接待ゴルフ中のけがは、労災保険の適用となるでしょうか?
Q17.試用期間中と本採用後の賃金を区別して設定してもよいのですか?
Q18.パソコンの私用メールを理由に懲戒処分はできますか?
Q19.計画停電による休業の際の賃金の取扱いについて教えて下さい。
Q20.行方不明社員の対処方法を教えて下さい。
Q21.雇用契約書に記載しなければならない事項は何ですか?
Q22.旅行積立金を賃金から控除できますか?
Q23.従業員の健康診断について教えてください。
Q24.最低賃金制度とは何ですか?
Q25.労災事故が起きた場合の使用者等のとるべき措置は何ですか?
Q26.懲戒処分の根拠は定める必要がありますか?


Q1.土・日勤務のアルバイトを解雇する場合、解雇予告は必要ですか?

 労働基準法では、その人がアルバイトであろうと、一般の正社員であろうと区別はしていません。労働者であることに変わりはないのです。したがって、アルバイトでも、最初の14日間の試用期間を除き一般労働者と同様解雇予告は必要です。
【労働基準法第20条第1項から抜粋】 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

お問い合わせはこちら

Q2.行方不明者社員の対処の方法は?

 社員が行方不明になってから解雇するのは難しい場合があります。それは会社から解雇の意思表示が本人に到達しなければ、原則として解雇はできないことになっているからです。
そもそも行方不明になっている相手に連絡をとるというのは無理な話です。公示送達の方法によって解雇の意思表示をすることもできますが、少なからぬ労力と時間を必要とするため、あまり一般的ではありません。こうした事態を防止するには「無断欠勤が14日間以上に及んだときは労働契約を解除する」という旨の規定をあらかじめ設けておく必要があります。

お問い合わせはこちら

Q3.年俸制だから残業代を支払わなくてもよいですか?

 年俸制の場合、残業手当が発生するかということですが、時間外労働・休日労働をすれば、当然に発生します。発生しないのは労働基準法第41条に該当する管理監督者などですので、これにあてはまらない社員には、法定労働時間を超える分については残業手当を支払わなければなりません。 残業手当を年俸に加味することは可能です。ただし、それを超えた分の差額は支払うことになります。

お問い合わせはこちら

Q4.管理職にすれば割増賃金は支払わなくてもよいですか?

 労働基準法第41条第2号でいう「監督または管理の地位にある者」とは、次の要件を満たす者でなければなりません。
1. 労務管理について経営者と一体的立場にあること 2. 出退勤などの労働時間について、厳格な制限がなく、自由裁量であること 会社の管理職というものは、各々の会社によって該当基準が異なるものであり、一概にいえないものです。一般に中間管理職は時間外の割増賃金がつかないと思われていますが、実際には労働時間などに関する適用除外者としての管理監督者であるかどうかは、名称ではなく実態で判断することとされています。
管理監督者の基準は意外と高いものとされています。管理監督者を増やして人件費を抑えようなどと安易につくられた管理職は、たいてい労働基準法上の管理監督者には該当しないと考えられます。なお、管理監督者であっても、深夜労働の割増賃金は適用除外とはされていないので注意が必要です。

お問い合わせはこちら

Q5.ミスで会社に大損害、社員の責任は?

 一般論と言えば、重大な過失で会社に損害を与えた社員は、内規により解雇などの厳しい懲戒処分を受ける可能性が高い。過失と損害との因果関係がはっきりしていれば不法行為(民法709条)により損害賠償責任を負う可能性もあります。
ただ、原因の一端が会社側にもある場合は、信義則により社員の責任は減ります。例えば、会社が過重労働を強いていた結果、工場従業員が居眠りをしたり注意力が散漫になって爆発事故などを起こす場合などです。
1.会社は社員がミスを犯さないように十分な予防をしていたか 2.ミスが起きた場合に被害を最小限に抑えるような措置をとっていたかなどの事情が考慮されます。 業務上の交通事故などで被害者側に過失があれば、裁判者がそれを斟酌して賠償額を減らす。過失による交通事故で社員が支払う賠償金は、飲酒運転などの悪質な場合以外、おおむね賠償総額の二割程度にとどまるケースが多いようです。

お問い合わせはこちら

Q6.社員が転勤命令を拒否したが?

 一般に労働契約を結ぶ際には、就業の場所や職務の内容など重要な労働条件が明らかにされることになっています。契約を交わしたあと、すぐにこれらの条件を変更することは契約違反となります。しかし、長期の雇用を見込んで期間の定めのない契約を結んでいる場合は、一定の期間が経過して条件がそろえば、特約のないかぎり、会社は社員の職務内容や勤務地を変更する権限を有すると考えられています。
その条件とは、次のようなことです。
1. 就業規則などに転勤を命じる場合があることを明記している 2. 業務上の必要がある 会社は時代とともに内部の構造や組織も変わり、一部の事業所がなくなることもあります。その一方で雇用を維持する義務があるため、転勤を含む社員の配置に関しては広い裁量権が認められています。

お問い合わせはこちら

Q7.社員が痴漢で逮捕、解雇できますか?

 会社に具体的な損害が発生したかどうかが明らかではありませんが、もし会社のイメージや信用を大きく損なう結果が発生したのであれば懲戒解雇も妥当だと考えられます。ただし、信用を大きく損なうケースとしては、マスコミに報道されてしまったり、上場企業がそのことで株価が下落したりと、目にみえる損害が合った場合に限られるでしょう。
そもそも就業規則は、会社の秩序を保つのが目的であり、会社外での出来事にまで及ぶものではありません。たいていの会社では、就業規則において「会社の名誉、信頼を毀損した場合」を懲戒解雇事由として規定していると思いますが、この規定もプライベートまで関与することはできません。原則として会社は、具体的に業務に支障をきたすことがないかぎり、社員の私生活上の行為について懲戒処分を行なうことはできないのです。
しかし、たとえば犯罪など社会的、道義的に問題のある行為をして信用をおとしめた場合、正当な根拠もなく会社を誹謗中傷して業務妨害をするような場合は、プライベートな行為でも会社は懲戒処分を行なうことができるとされています。

お問い合わせはこちら

Q8.自転車で会社通勤、通勤手当は返す?

 通勤にかかる費用は労働者が本来負担すべきものです。しかし、社員の福利厚生の一環として住居や通勤経路の届出を求めたうえで、合理的な経路による費用を賃金の一部として支給する会社が多くなっています。通勤手当は賃金なので、通勤に使ったかどうかにかかわらず受け取ることができるとの見方もあります。しかし、「実際にかかる費用を支給する仕組みなので、使っていないならば返還しなくてはならない」との見方が大勢です。
本来、払わなくてもよい通勤手当を払わせれば、会社に経済的損害を与えてはならないという労働契約上の信義則に違反します。自転車通勤なのにあたかも電車やバスを利用しているように装えば、通勤経路の虚偽申告になります。

お問い合わせはこちら

Q9.パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成しないと、正社員の就業規則が適用されますか?

 パートタイマーや嘱託社員用の就業規則を作成していないと、原則として正社員の就業規則が適用されます。あるパートタイマーが退職しましたが、会社からパートタイマーは退職金がないと言われました。労働基準監督署で調査したところ、正社員の就業規則はあるが、パートタイマーについての就業規則がなく、退職金規定にパートタイマーを除く規定がありませんでした。是正勧告の結果、規定どおりの計算でこのパートタイマーに退職金を支払いました。
パートタイマー等を雇用している会社は、正社員とは別の就業規則を作成することが重要です。

お問い合わせはこちら

Q10.通勤手当を6ヵ月定期券で交付したいのですが問題はありますか?

 現物給与は、労働協約に規定がないと一切認められないことに注意することが必要です。したがって、労働組合のない企業では現物給付はできませんので定期券での支給はできません。また、労働組合があっても労働協約が締結されていない企業では、現物給付は認められません。 いったん定期券代を通貨で支払い、それを回収して企業が恩恵的に定期券を購入して渡すことは認められます。

お問い合わせはこちら

Q11.2事業場を掛持ちで働くときどちらで割増賃金を支払うのですか?

 労働者が異なる事業場、たとえばA事業場とB事業場で働く場合その両者の労働時間を通算し、通算の結果、法定労働時間(8時間)を超える場合には、超えた時間に割増賃金を支払わなければなりません。この場合、割増賃金を支払わなければならないのはABいずれの事業主であるかが問題となります。通常は、その労働者との時間的に後で労働契約を締結した事業主と解されています。なぜならば、後で労働契約を締結した事業主は、雇入れに当たってその労働者が他の事業場で働いていることを承知して、少なくとも確認できる立場であって、労働契約を結んだものであるからです。ただし、A事業場で4時間、B事業場で4時間働いている者の場合、A事業場の使用者が、労働者がB事業場で4時間働くことを知りながら労働時間を延長するときは、労働契約の後先に関係なく、A事業場の事業主が割増賃金を支払わなければなりません。どちらの事業主が法定労働時間外にその労働者を使用した事業主と考えられるか、実質的に判断する必要があります。

お問い合わせはこちら

Q12.始末書の提出を強制することはできますか?

 雇用関係においても、個人の意思の自由は最大限尊重されるべきであり、謝罪や反省を強制することはできません。そこで任意に始末書提出に応じない者に対して、業務命令という形での提出の強要や、不提出を理由とした不利益な取り扱いはできないと解されます。ただし、強制するのでなければ、上司が管理権または監督権にもとずき、その監督下にある従業員に対して、指導の観点から始末書の提出を求めること自体は許されるものと解されます。

お問い合わせはこちら

Q13.年休の買い上げが認められるのはどのようなケースですか?

 (1)退職により未消化のまま残った年休、(2)2年の消滅時効により取得の権利が消滅した年休、(3)労基法で規定されている年休を上回って与えられている年休に関しては買い上げが認められます。もっとも、このような措置は、あくまでも結果的に年休権が消滅してしまう場合であって、これを制度化することは好ましくありません。

お問い合わせはこちら

Q14.退職者の前歴を知りたいという問い合わせに答えても良いですか?

 この問題については、労基法と個人情報保護法と二つの角度から検討する必要があります。労基法上は、照会に答えても法違反に当たりません。しかし、個人情報保護法第23条および厚生労働省が定めた指針で、「雇用管理に関する個人情報を取扱う者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と規定しています。したがって、雇用管理の実務上は、本人の同意なく個人情報を第三者に提供するのは避けるべきです。

お問い合わせはこちら

Q15.自主的に行われる残業は時間外労働になりますか?

 使用者が労働者に明示の残業命令を行った場合には、労働者が使用者の指揮命令下に労務の提供を行うことは明らかであり、労働時間に当たることはいうまでもありません。それでは黙示の場合はどうなるでしょうか。使用者としては、明確に労働者に時間外労働を命じていないものの、労働者が残業しているのを黙認しているといった事情があれば、労働者に対して黙示の指示をしたものとされ、当該残業が時間外労働に当たる可能性は高くなります。

お問い合わせはこちら

Q16.社命での接待ゴルフ中のけがは、労災保険の適用となるでしょうか?

 接待ゴルフ中のけがが労災と認められるためには、それが、「業務上の負傷」と言えなければならず、そのためには、①事故が業務遂行中のもので、かつ、②けがが業務によるものでなければなりません。この接待ゴルフが事業運営上絶対的に必要なものであり、かつ、会社の積極的特命によるものだと立証できれば、労災適用の可能性がないとはいえません。しかし、仕事をするために絶対必要な接待ゴルフがあるとも考えられず、労災の適用はかなり難しいです。

お問い合わせはこちら

Q17.試用期間中と本採用後の賃金を区別して設定してもよいのですか?

 使用者が賃金制度をどのように設定するかは法令に違反しない限り自由です。また、「試用期間中の者」と「正社員」という差異は労基法第3条(均等待遇)でいうところの「社会的身分」にも該当しないと考えられるため、試用期間中の賃金と本採用後の賃金を区別して設定することは違法ではありません。したがって、試用期間中の者について、本採用後よりも低い賃金を設定することは最低賃金を上回っている限り可能です。

お問い合わせはこちら

Q18.パソコンの私用メールを理由に懲戒処分はできますか?

 パソコンの私的使用を禁止する旨の就業規則の規定が設けられている場合、職務専念義務違反を理由に懲戒処分をすることができます。しかし、ルール上は私用禁止でも、実態として黙認されているような状況下では、業務に支障が生じている、職務専念義務違反がはなはだしいなどの事情がないと、メール私用だけを理由にした懲戒処分は難しいです。
 また、目に余るという状況でも、いきなり懲戒処分ではなく、まず注意・指導をし、それでも改まらない場合に謹慎など軽い処分を検討することになります。

お問い合わせはこちら

Q19.計画停電による休業の際の賃金の取扱いについて教えて下さい。

 計画停電の実施に伴い、店舗・事業所等を休業した場合、原則として労基法第26条の「使用者の責めに帰すべき事由による休業」には該当しません。よって、その間に対し休業手当を支払う必要はありません。
 ただし、停電時間以外の時間を休業した場合は、事業主の判断と解する部分が多く、休業手当の支払いが必要となる場合があります。個々の状況により異なりますが、この度の東北地方太平洋沖地震に関連して、厚生労働省よりこの計画停電による休業の際の賃金の取扱いについて、平成23年3月15日に通達が出されました。この通達によりますと、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業する場合も、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として労基法第26条の「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当しないとされています。

 計画停電で電車ダイヤが乱れ、遅刻・早退・欠勤はどうするのかという問題があります。その時間又は1日の賃金を控除するか、あるいは、年次有給休暇を付与するかは労使の話し合いで決定し、お互いに痛み分けすることが大切です。
自宅に帰れないため、宿泊することになった場合のホテル代は会社が負担するべきか。電車が止まっているためタクシーで会社に来たときの運賃、他の路線で来たときの交通費を会社が負担するべきか。
労働者の使用者に対する労働提供義務は「持参債務」です。
 つまり、労務に提供という債務の履行のための費用は労働者が負担すべきものとされています。従いまして、ご本人の事情によるものはもとより、この度の地震の影響で自宅に帰れなくなりホテルに宿泊した費用、急遽、タクシーを利用した費用、他の路線で出勤した場合の交通費などは、原則として会社は別途の費用負担を負う義務はありません。

お問い合わせはこちら

Q20.行方不明社員の対処方法を教えて下さい。

 行方不明社員の懲戒解雇が決定された場合、当該社員に対して解雇の意思表示を行う必要があります。解雇の意思表示はあくまで本人に対して行わなければなりません。この場合の意思表示としては、民法97条の2による「公示送達」の方法がありますが、手続きが面倒です。実務上は、会社として解雇の意思表示をしなくてもいいように、就業規則における退職事由の項目に「社員が行方不明となり、14日以上連絡が取れない場合」を追加しておけば、会社からの解雇の意思表示や本人の意思表示がなくても退職が有効に成立すると考えられます。

 行方不明の社員を自己都合退職として取り扱うことが許されるのかという問題は理論的な問題と実務的な問題とを区別して取り扱うことが必要です。単に出社してこなくなったことをもって、その社員の退職の意思表示があったものとして取り扱うことはできず、理論的には所在不明を持って自己都合退職として取り扱うことは難しいわけですが、実務的な問題としてみれば、自己都合退職扱いにしてもほとんど紛争を生じません。
 なぜなら、社員本人が後で会社に現れて復帰を求めるという事態はまず考えられないからです。仮に、そのような事態が生じた場合には、その社員が退職の意思表示をしていないので、自己都合退職扱いは無効であると主張したとしても、今回は目の前に出現したのですから、その場で懲戒解雇の意思表示をすればよいわけです。
 なお、雇用保険の資格喪失手続においても「自己都合退職」として処理してもらえますし、社会保険についても「健康保険被保険者証添付不能届」を資格喪失届に添付して、被保険者証を回収できない旨を記入しておけば問題ありません。

お問い合わせはこちら

Q21.雇用契約書に記載しなければならない事項は何ですか?

 労働基準法第15条で次の事項(絶対的明示事項)は必ず書面で明示しなければなりません。労使トラブルを防ぐためには、雇用契約書の内容で従業員が同意した旨の署名・捺印をもらうことが重要です。
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所、従事すべき業務
(3)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、並びに労働者を2組以上に分かれて就業させる場合の取扱い
(4)賃金の決定、計算および支払方法、賃金の締切りおよび支払の時期並びに昇給に関する事項
(5)退職に関する事項

 雇用の流動化や雇用形態の多様化の流れの中で、労使トラブルを未然に防止するために雇用契約の締結が重要となっています。   法律がどうこういう前に、従業員との間に信頼関係を築くことが大切です。そのためにも、信頼関係を作り上げる最初の出発点となる採用のときに、どういう条件で雇い入れるのか雇用契約書でハッキリさせておきましょう。原則、労働契約締結時に従業員に対して、口頭または書面で明示することになっています。しかし、労働基準法第15条では上記の絶対的明示事項に関しては必ず書面で明示しなければなりません。労働基準法では「書面で明示」となっていますから、会社から一方通行で「労働条件通知書」として従業員に内容を説明して、これを渡せば法律上は十分です。しかし、後になって従業員から「そんなの、もらっていない」と言われても困りますので、労働条件通知書ではなく「雇用契約書」として2部作成し、雇用契約書の内容で従業員が承諾した旨の署名・捺印をもらって、会社と従業員が各1部を保持するようにします。雇用契約書を締結することによって、かなりの部分の労使トラブルを防止できます。
 なぜなら、社員本人が後で会社に現れて復帰を求めるという事態はまず考えられないからです。仮に、そのような事態が生じた場合には、その社員が退職の意思表示をしていないので、自己都合退職扱いは無効であると主張したとしても、今回は目の前に出現したのですから、その場で懲戒解雇の意思表示をすればよいわけです。
 なお、雇用保険の資格喪失手続においても「自己都合退職」として処理してもらえますし、社会保険についても「健康保険被保険者証添付不能届」を資格喪失届に添付して、被保険者証を回収できない旨を記入しておけば問題ありません。

お問い合わせはこちら

Q22.旅行積立金を賃金から控除できますか?

 労働基準法第24条の賃金の全額払いの原則により、賃金はその全額を支払わなければなりませんが、①法令に別段の定めがある場合、②労使の書面協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができます。労使の書面協定による賃金の一部控除は、「購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金、組合費等その事由が明白なものについてのみ控除を認める」とされています。協定書の様式は任意ですが、協定書には少なくとも、控除の対象となる具体的な項目とその項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載することが必要とされ、届け出の必要はありません。

 労働基準法第24条の「全額払いの原則」とは、賃金の一部の支払いを留保することにより、これが労働者の足留め策とならないようにするとともに、直接払いの原則と合わせて賃金の全額を労働者が受領できるよう『控除』を禁止したものです。ただし、「法令で別段の定めがある場合」と「書面による協定がある場合」だけは例外を認めています。「法令で定められた場合」の主なものは、所得税、地方税、社会保険料、それに制裁としての減給などがあります。「書面による協定がある場合」とは、購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金、組合費等その事由が明白なものについてのみ控除を認めるとされています。この書面には、①控除の対象となる具体的な項目およびその額(可能な限りで)、②控除対象の各項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載するよう行政指導がなされています(平11.3.11基発168号)。この書面による協定は「二四協定書」とも言われ、所轄労働基準監督署に届け出る必要はありません。

お問い合わせはこちら

Q23.従業員の健康診断について教えてください。

 労働安全衛生法は、規模・業種に関係なく企業に対し労働者の健康診断を義務づけています。具体的には、雇入れ時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断等があります。雇入れ時の健康診断は、その従業員が医師による健康診断を受けた後3ヵ月を経過しない場合に、健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する内容については実施する必要はありません。特定業務従事者の健康診断は、有害な業務等に常時従事する労働者に対し、6ヵ月に1回定期に医師による健康診断を実施させる必要があります。対象と鳴るとなる業務は深夜業も含まれており、具体的には6ヵ月を平均して月4回以上の深夜業務に従事した従業員が対象とされています。

 事業主は、定期健康診断および特殊健康診断を実施した際に、その結果を従業員に通知する義務があります。また、従業員の健康診断個人票を5年間保存し、これに基づいて従業員の健康管理や適切な配置転換などの措置を講じなければならないものとされています。また、常時50人以上の従業員を使用する事業場が健康診断を行ったときは、遅滞なく定期健康診断結果報告書を提出する必要があります。会社で行う健康診断については法律で事業者に健康診断の実施の義務を課長課している以上、当然事業者がその費用を負担すべきであるとしています。したがって、事業主は雇入れ時および定期に実施する健康診断の費用を原則として負担することが必要です。また、特殊健康診断の受診時間は労働時間であるが、一般健康診断は労働時間ではないとされています。しかし、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいとされています。

お問い合わせはこちら

Q24.最低賃金制度とは何ですか?

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。常時・臨時・パート・アルバイト・嘱託などの雇用形態や呼称にかかわらず、原則としてすべての労働者と使用者に適用されます。最低賃金の対象となる賃金に算入しないものとして(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)、(2)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、(3)所定労働時間外労働、所定労働日以外の日の労働及び深夜労働に対して支払われる賃金、(4)精皆勤手当、通勤手当および家族手当があります。平成23年10月1日から東京都の最低賃金は837円(時間額)に改正されました。

 最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金に達しない賃金を定める労働契約は無効とされ、無効となった部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。なお、従業員に支払っている賃金が最低賃金に満たない場合、最低賃金法による罰則は50万円以下の罰金となっています。精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者、試用期間中の労働者(最長6か月を限度)、職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受けている者、所定労働時間が特に短い者、軽易な業務に従事する者、断続的労働に従事する者については、都道府県労働局長の許可を条件に、最低賃金の適用は除外されます。

お問い合わせはこちら

Q25.労災事故が起きた場合の使用者等のとるべき措置は何ですか?

 労災は会社が申請するものだと誤解している人がいますが、あくまで、被災者本人、もしくは遺族が申請します。会社は、被災労働者や遺族が労災申請をしようとする時、それに協力する義務があります。労災は、被災労働者が勤めていた事業場を管轄する労働基準監督署に申請します。実際に労災事故が発生した場合、労働者が労働基準監督署に提出する労災保険給付等の請求書において、①負傷または発病の年月日、②災害の原因および発生状況等の証明をし、事業者自らも労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出します。ただし、通勤災害の場合は労働者死傷病報告書の提出は必要ありません。

 労働者が労働災害に負傷した場合等には、労働者等が休業補償給付等の労災保険給付の請求を労働基準監督署長に対して行うことになりますが、その際、事業主は労災保険給付等の請求書において、①負傷または発病の年月日、②災害の原因および発生状況等の証明をしなければなりません。ここでいう事業主とは、労働者の雇主を指すのが原則ですが、建設業については元請人であるとされています。事業者は、労働災害により労働者が死傷した場合には、労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出しなければなりません。休業4日以上の場合には遅滞なく提出し、休業4日未満の場合には3ヵ月ごとに提出しなければなりません。ただし、通勤災害の場合は労働者死傷病報告書の提出は必要ありません。

 故意に労働者死傷病報告書を提出しなかったり、虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出すると、いわゆる労災かくしとして、処罰を含めた厳正な処分がなされますので注意が必要です。

お問い合わせはこちら

Q26.懲戒処分の根拠は定める必要がありますか?

 懲戒(制裁)とは、職場の秩序を保つために、使用者が労働者の服務規律違反などに対して課す罰をいいますが、懲戒を行うためには、労働契約上その根拠が必要とされます。したがって、就業規則等に懲戒事由の記載がなければ、懲戒はできません。労働契約法第15条は「使用者が労働者を懲戒することができる場合」とし、労働基準法第89条も「制裁の種類及び程度」を就業規則に記載することを求めています。

 常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成が義務づけられていますので、懲戒を定めた場合には、その種類や程度、どのような場に懲戒処分の対象になるかという「懲戒事由」を就業規則に記載しておくことも必要となります。

 懲戒処分の種類については、一般的には、訓戒、減給、出勤停止、降格、懲戒解雇などがありますが、このうち、「減給」は労働基準法第91条に制限規定があり、1回の事案に対する減給額が平均賃金の半額を超えてはならず、また、複数の事案がある場合にも、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはなりません。
 懲戒事由についても、就業規則に定めておくことが必要です。その事由を一つ一つ具体的に示すことが望ましいのですが、実務的には、対象となるべき行為すべてを具体的に示しておくことは無理なので、処分の対象とするべき典型的な違反行為として、具体的なものをいくつか示したうえで、「前各号に準ずる行為があったとき」などと、包括的に定めておくと良いでしょう。
 懲戒をめぐるトラブルにならないようにするためには、あらかじめ懲戒に関して定めておくことも必要ですが、懲戒を行う場合には、相当だと認められる処分となるように慎重にすすめることも大切となります。

お問い合わせはこちら